終活にかかる費用はいくら?|終活に必要な費用を項目別に分けてくわしく解説
2024.01.04
老後資金について考えるとき、外せないのが終活費用。しかし、「そもそも終活にはお金が必要なの?」「かかる費用はどのくらい?」と疑問に思う方も多いはずです。
そこで今回は、終活に必要な費用を項目ごとに分けてくわしく解説。さらには、終活を無駄なく進めるために知っておきたい費用を抑えるコツも紹介します。この記事を参考に、自分らしい終活のヒントを探してみましょう。
終活にかかる費用とは?
終活にかかる費用とは、人生の終末期を自分らしく迎えるための準備費用のこと。だからこそ、終活にかかる費用は人それぞれです。自分の希望や本当に必要とするものを考え、どれだけの費用がかかるかを理解しておくことが大切です。
家族や子どもの負担を軽減しながら、自分らしい老後を有意義に過ごすために必要な準備費用としては、主にお墓や葬儀、医療や介護にかかる費用や遺産相続に関する費用、生前整理にかかる費用などが挙げられます。
終活にかかる費用の相場は80万~250万円
終活にかかる一般的な費用相場は、80万~250万円。しかし、人によって準備すべきものが違うため、場合によっては、数百万円から1,000万円などさらに高額な費用がかかる可能性もあります。
例えば、先祖代々のお墓や仏壇があるかないか、持ち家の処分や遺品整理の有無が費用の幅に大きく影響します。そのため、自分の終活に必要なものを見極め、どのくらいの費用を準備しておけばよいかを試算しておく必要があるのです。もし、資金不足を感じたらすぐに費用の工面を考えられるので、いざというときの家族の負担を軽減できます。
終活にかかる費用の内訳
終活にかかる費用の主な内訳は下記の通り。しかし、先述の通り、終活に必要な費用は人それぞれ違うため、これら以外にも費用が必要になる項目があったり、目安以上の費用がかかる可能性は大いにあります。
費用の目安
- エンディングノート 1000円程度
- 生前整理 3~60万円程度
- 空き家整理にかかる費用 平均110万円程度
- 医療や介護にかかる費用 ~100万円程度
- お墓の購入費 ~400万円程度
- 葬儀の費用 20万~200万円程度
- 相続に関する費用 ~30万円程度
エンディングノート
終活の鍵となるエンディングノートは、1000円程度で販売されています。安いものなら、500円程度で購入できる可能性も。さらに費用を抑えたい場合は、インターネットから無料でダウンロードすることもできます。
生前整理
生前整理は大きく「お金」「物」「デジタル」の3つに分かれます。それぞれくわしくみていきましょう。
- 財産整理
- 遺産相続については自分で目録を作成し、自筆の遺言書を作成するだけなら費用は必要ありません。ただし、自筆の遺言書はルールに沿って作成しないと無効とみなされる可能性があるため、公正証書という形で証明を残しておくことをおすすめします。
- 遺品整理
- 自分でおこなう遺品整理の費用相場は3~10万円。不用品の処分料やレンタカー代などがかかります。専門業者に整理を依頼する場合は、物の量や部屋の間取り、広さによって異なりますが、数万円から60万円程度かかることがあります。
- デジタル整理
- 自分でスマホやパソコンに保管しているデータや個人情報、SNSなどを整理する「デジタル整理」をおこなう場合にかかる費用は0円です。デジタル整理サービスを提供する業者に整理を依頼する場合は、5,000~10万円程度必要です。
空き家整理にかかる費用
空き家整理にかかる費用は、処分方法や規模によって12万~250万程度、平均して約110万円ほどかかります。空き家を売却したりや更地にしてから売却する場合は、それぞれの専門業者に依頼する費用が必要です。
また、空き家を遺族が引き取る場合にも、名義変更手続きにかかる費用やメンテナンス代、固定資産税などがかかります。
医療や介護にかかる費用
老後の医療費や介護費用には、最低でも100万円程度準備しておく必要があります。ただし、状況に応じて必要な費用は大きく変わります。家族の負担を軽減するためにも、保険や貯蓄で柔軟に対応できるようにしておくと安心です。
- 医療費
- 医療には、入院費や手術費のほかにも検査費、薬代、通院費などがかかります。保険適用の自己負担額は「高額療養費制度」で一定額に収まりますが、保険適用外の緩和ケア病棟を利用した場合は高額な費用がかかります。
- 介護費
- 介護費用は、要介護度だけでなく介護を受ける場所によって必要な費用が変わります。在宅介護の場合は費用を抑えることができますが、家族や配偶者に介護負担がかかります。あらかじめ自分の希望を家族に伝えて、相談しておくと良いでしょう。
介護施設に入居する場合は、月々10万~20万円ほど必要です。介護保険が適用される施設を利用した場合でも、入居期間が長期化すれば、費用がかさむ可能性があります。
お墓の購入費
先祖代々のお墓がある場合は、お墓にかかる費用を抑えられます。しかし、新しくお墓を購入する場合は、お墓の種類や大きさ、埋葬方法などによって異なりますが、平均で100万から200万円の費用が必要です。
主なお墓の費用相場は以下の通りです。ご家族としっかり話し合い、納得のいくお墓選びをおこないましょう。
- 一般墓
- 一般墓の購入費の相場は100万~400万円程度。墓石費用のほかにも永代使用料や年間5,000~15,000円の管理費用の支払いが必要になるのが一般的です。都市部の墓地の価格は特に高く、自身の宗教や希望にこだわれば1,000万円ほどかかる可能性があります。
- 樹木葬
- 樹木葬は、埋葬方法によってかかる費用が異なります。合祀型の使用料は5万~20万円、個人型は15万~60万円、家族型になると20万~80万円が相場です。その他にも埋葬料や銘板を残す場合は彫刻料、設備管理費などが発生します。
- 永代供養墓
- 墓じまいの心配がない永代供養墓は、納骨方法や供養期間などによってかかる費用が変わります。他のご遺骨も一緒に安置される合祀型の費用相場は3万~10万円。個別安置型では、墓石のタイプや契約期間などによって異なります。
- 納骨堂
- 納骨堂の一般的な費用相場は個人用で50万円、家族用であれば100万円程度と言われています。ただし、納骨堂の立地や供養方法によっても変動します。また、最新型の自動搬送式を使った施設や有名な寺院などは、相場よりも価格が高くなる可能性があります。
葬儀の費用
一般的な葬儀にかかる費用は200万円程度。実際に必要な費用は「自分がどんな形で見送ってほしいか」によって大きく変わります。強い希望がある場合は、月々数千円程度で入れる葬儀保険に入っておくと安心です。
また、近年では火葬と納骨のみの「直葬」を望む方も増えており、葬儀にかかる費用を10万~50万円程度と大幅に抑えることも可能です。
相続に関する費用
遺産相続を円滑かつ確実に進めるためには、「遺言公正証書」の作成を専門家に依頼することをおすすめします。「遺言公正証書」の作成費用は、以下のように遺産の金額や依頼先の専門家によって異なります。
- 弁護士:10~30万円
- 司法書士:10~15万円
- 行政書士:5~10万円
終活にかかる費用を抑えるコツ
終活にかかる費用の総額は、一見するとかなり高額のように感じます。しかし、以下のような点に気をつけながら計画的に終活を進めれば、かかる費用を大きく抑えることが可能です。ぜひ、参考にして下さい。
早めに終活を始める
終活はいつから始めても問題ありません。体力も能力もある元気なうちからできることを始めておきましょう。早めに生前整理を始めておけば、専門業者に高い代金を支払わなくて済む可能性も高まります。
情報収集が大切
終活は、正しい情報をしっかり収集することが重要です。終活に関する知識を深めることで、適切な判断ができるようになります。
終活イベントやセミナーに参加してみる
近年では、自治体やNPO、葬儀社などのライフエンディング関連企業が主催する終活イベントやセミナーが毎週のように開催されています。専門家から正しい知識を得られるのはもちろんのこと、同じ境遇の参加者と情報が共有できる可能性も高まります。
葬儀の形式を見直す
葬儀にかかる費用は、終活費用の大きな割合を占めますが、お通夜や告別式をおこなわない直葬や小さな規模の家族葬を選択することで、場合によっては一般的な葬儀の1/10の費用まで抑えることも可能です。
お墓の選択肢を広げる
お墓に関する費用も、樹木葬や永代供養墓など選択肢を広げることで大きく費用を抑えることができます。どうしても樹木葬や永代供養墓のイメージが湧かないという方は、ご家族と一緒に実際の墓地の見学に行ってみることをおすすめします。
遺言書を自筆で作成する
専門家に依頼して「遺言公正証書」を作成すると費用がかかりますが、自筆で遺言書を作成することで費用を節約することも可能です。ただし、自筆遺言は内容や形式が明確でないとトラブルの原因になる可能性があるため、細心の注意が必要です。
わからないことは迷わず専門家の助けを借りよう
終活には、専門的な知識を必要とする場面がいくつもあります。曖昧な部分やわからないことがある場合は、以下のような専門家に迷わずサポートを仰ぎましょう。特に、相続に関することには、専門家の知識が役立ちます。
終活カウンセラー
終活は何から始めたらよいかわからない、もしくは誰に相談したらよいのかわからない人は「終活カウンセラー」に相談しましょう。「終活カウンセラー」は終活に関する幅広い知識を持ち、相談者それぞれの悩みや状況に応じたアドバイスや情報提供をしてくれます。
また、終活の案内人として複雑な手続きをサポートや専門家の紹介をおこなってくれるだけでなく、相談者の希望を家族に伝える橋渡し的役割を果たしてくれるケースもあります。
ファイナンシャルプランナー
老後のお金に関して心配がある場合は、終活にくわしいファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。資金不足の場合は、終活費用をどうやって捻出するか、どんな節約方法を実行すべきかを相談してみると良いでしょう。
地域包括支援センター
医療や介護に関する費用については、地域包括センターや担当のケアマネージャーに相談してみましょう。介護保険が適用されるサービスや、経済負担を軽減するために利用できる制度、自治体がおこなう補助金などについてくわしく説明してくれます。
弁護士や行政書士などの専門家
専門的な知識を必要とする遺書作成や債務整理、成年後見については弁護士や司法書士、行政書士、税理士などそれぞれの専門家に相談しましょう。終活に関する幅広い悩みを抱えている場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
終活の費用を把握して老後資金の予算を立てよう
以上のように、終活にかかる費用は、やはり人それぞれ。自分の状況と希望をじっくりと照らし合わせて、自分にとって本当に必要な終活費用を算出しましょう。
終活はできる限り早めに取り掛かり、少しずつ準備を進めていくのが得策です。早めに終活にはどの程度の費用が必要かを把握できれば、老後資金の計画が立てやすくもなります。賢く終活をおこない、今後のライフプランに活かしましょう。