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終活に便利なエンディングノート | 書き方や保管方法も解説2023.10.22

終活をする上で、自分の情報や財産、お墓や家族への思いなどについてまとめられるエンディングノートは、大変便利なアイテムです。このコラムでは、エンディングノートと遺言書の違い、入手方法、書いておくべき項目などを解説しています。
また、エンディングノートを書く際のポイントや注意点、保管方法も紹介していますので、これから書いてみたいと考えている方は是非参考にしてください。


■エンディングノートとは?
エンディングノートとは、自分に万一のことがあったときに、家族や周りの人へ自分の思いや希望などを伝えるためのツールです。書き始めるタイミングは自由で何度でも書き直せるため、高齢者だけでなく年齢が若い人でも取り組みやすい終活のひとつといえます。

書く内容に決まりはありませんが、自分が意志を伝えられなくなった場合に、周りの人が医療や葬儀、お墓などの手続きをスムーズにおこなえるよう、必要な情報や希望を記しておくのもおすすめです。

・遺言書とは何が違う?
エンディングノートを書く際に気をつけなければならないのは、遺言書との違いです。遺言書とは、自分の財産を誰にどのくらい残すかといった意志を記すもので、民法で定められた規定に従って作成する必要があり、法的効力をもちます。

一方、エンディングノートはあくまで自分の希望や思いを綴るものであり、法的効力はありません。遺言書の代わりにはならないため、相続に関して記載する場合は参考程度の内容にとどめておくのが良いでしょう。

■エンディングノートはどこで手に入る?
エンディングノートの種類や仕様に決まりはないため、使いやすいタイプのノートや手持ちのノートを使っても構いません。専用のノートを用意したい場合は、以下の入手方法を参考にしてみてください。

①書店や通販サイト
書店や通販サイトなどではさまざまな仕様のエンディングノートを販売しています。メッセージの項目が充実しているものや、解説がわかりやすいもの、バインダー形式で用紙の入れ替えや追加ができるものなどもあるため、項目や機能面で好みのものを選ぶと良いでしょう。
書店では相続関連のコーナーに置かれていることが多く、文具店ではステーショナリーコーナーに置かれていることが多いです。

②市役所
自治体によってはエンディングノートを配布していたり、ネットから無料でダウンロードできることもあります。自治体のエンディングノートは市販のものに比べるとシンプルでページ数も少ない傾向がありますが、必要な情報を簡潔にまとめられるため、書く項目が多いと負担に感じる人や、必要最低限の内容で十分な人にとって使いやすいでしょう。

③アプリなどのデジタル版を利用
エンディングノートは、アプリなどのデジタル版でも作成できます。デジタル版のメリットは、自分のスマホやパソコンから手軽に作成でき、加筆修正も簡単なことです。手持ちのパソコンやスマホで文書データを作成するのも良いですが、専用アプリなら自分で項目を考える必要がないため、そのぶん手間が少なく済みます。

アプリは無料版のほか、購入時に料金が発生するものや月額料金が発生するものなどがあるため、サービス内容を確認して自分に合ったタイプを選びましょう。


■エンディングノートに書いておきたい9項目
次に、エンディングノートに記載しておくと良い主な項目について紹介していきます。ひとつずつみていきましょう。

・自分の基本情報
生年月日や血液型、本籍地などの基本情報は、亡くなった後のさまざまな届出や手続きをする際に役立ちます。家族がすぐに情報を確認できるよう、エンディングノートの初めに書いておくのが望ましいです。具体的な基本情報の記載例は以下になります。

● 氏名
● 生年月日
● 現住所
● 本籍地
● 血液型
● 家族構成

このほか、自分史や趣味などの内面的な部分を書いておくのもおすすめです。これまでの人生を振り返ることができ、今後は何をしたいか、どのように過ごしたいかを考えるきっかけにもなります。

・遺言書について
遺言書の作成有無や保管場所を記載しておけば、家族が遺言書を探す手間が省けます。なお、上述したようにエンディングノートは遺言書の代わりにはならないため、書く内容は下記のような参考情報が望ましいです。

● 遺言書の有無
● 遺言書の種類(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)
● 保管場所について

・交友関係の連絡先リスト
エンディングノートに訃報を知らせて欲しい人の連絡先リストを記載しておけば、自分に万一のことがあったときに家族がスムーズに連絡できます。また、趣味繋がりの友人、学生時代からの友人といったように、関係性も補足しておくと家族も対応しやすくなるでしょう。

・財産について
預貯金、不動産、有価証券、貴金属、貸し借りしているお金などがあれば、情報を記載しておきましょう。例えば、預貯金の情報であれば、金融機関名、支店名、預貯金の種類、口座番号、口座名義、口座の種類などを正確に記載しましょう。ただし、これらを記載する場合はノートの紛失や盗難に十分気をつける必要があります。

財産の相続に関する遺言があれば、エンディングノートではなく遺言書に記載しましょう。また年金証書や介護保険証、健康保険証、通帳・印鑑、貴重品などの保管場所についても書いておくと、手続きをする際にスムーズです。

・葬儀やお墓の希望
葬儀やお墓に関することも、遺された家族に関わる大切な項目のひとつです。葬儀については、参列して欲しい人の連絡先リストや、葬儀社、葬儀の種類、規模、予算などをノートにまとめておくと、家族が対応する際に負担が少なく済みます。

お墓には家墓のほか樹木葬や納骨堂などさまざまな種類があるため、それぞれの特徴やメリット・デメリットを知り、希望をまとめておきましょう。なお、お墓は一度納骨すると簡単には移動できないため、家族の意見も取り入れながら決めることが大切です。

・医療や介護の希望
かかりつけ医の連絡先や服用している薬、アレルギーなどの情報もわかりやすくリストにしておくと、もしものことがあったときに家族がスムーズに対応できます。
また、意志の疎通ができなくなってしまったときに備え、介護が必要になったときは誰に介護をしてもらいたいか、延命措置を望むか、医療・介護の費用はどうするかなどについて、自分の希望をまとめておくのも重要です。


・自分のデジタル情報
パソコンやスマホ内に保存しているデータやインターネット上にあるデータは、身の回りのものと同様に整理しておく必要があります。まずは残しておきたいもの、削除しても良いものを仕分けし、残すものがあればどのように取り扱って欲しいかをエンディングノートに記しておきましょう。

そのほか、ネットバンクや登録しているサブスクリプションサービスなどお金に関わるものがある場合は、家族が手続きをスムーズにできるようIDやパスワードを残しておくことも大切です。


・ペットの対応について
ペットを飼っている場合は、自分に万一のことがあった場合の引き取り先を考えておくことも大切です。その上で、エンディングノートにはペットの世話をスムーズに引き継ぐことができるよう、詳しい情報を記載しましょう。以下は記載する項目の一例です。

● 名前、生年月日、性別、性格など
● 避妊去勢手術の有無
● 予防接種の有無
● 既往歴
● 引き取り先の希望
● 食べ物の好み
● ペット保険の加入有無
● かかりつけの動物病院
● 血統書の有無や登録番号

・伝えたいメッセージ
エンディングノートには、家族や大切な人へのメッセージを書いておくのもおすすめです。家族1人1人に対するメッセージのほかにも、親戚や友人などへ向けた手紙を挟んで、渡してもらうよう記しておくのも良いでしょう。メッセージは自分が伝えやすい方法が1番なので、独り言のように思いを綴っても、箇条書きでも構いません。大切な方を思い浮かべたときに感じた気持ちを自分なりに表現してみましょう。


■エンディングノートを書く上でのポイント
いざエンディングノートを書こうと思っても、何から書けば良いのか、どう書いたら良いのかなど悩んでしまうこともあるでしょう。ここでは、エンディングノートをスムーズに書くためのポイントや注意点を解説します。


・書きやすい項目から取り掛かろう
エンディングノートは、自分の基本情報や知人・友人リストなど、考え込まなくても書き進められるものから取り掛かるのがおすすめです。どのように書けば良いのか悩んでしまう項目は後回しにしましょう。また、空欄があっても気にする必要はありません。年齢によってはその時点で分からないこともあるので、焦らずに書けるときがきたら随時書き加えていきましょう。

・今の思いを書いてみよう
遺言書と違って、エンディングノートはいつでも何度でも気軽に書き直すことができます。そのため、初めから綺麗にまとまっている必要はありません。現段階の意志や気持ちを書き、定期的に見直したり、気持ちや状況に変化があったときに加筆修正していきましょう。

・家族や周りの人と相談しながら書こう
介護や医療、お墓や葬儀など、家族や周りの人にとっても重要な項目は、一人で決めてしまうと後々意見の食い違いが発生したり、思わぬトラブルに発展してしまう可能性があります。事前に家族や周りの人に相談したり、意見を聞いてからエンディングノートにまとめましょう。

■エンディングノートの保管場所は?
エンディングノートに財産情報や個人情報などを書いている場合は、盗難に配慮し適切な場所に保管する必要があります。以下に、紙のノート・デジタルノートそれぞれの保管上の注意を解説していますので、順にみていきましょう。

・紙のノートは盗難を考慮しつつ見つけやすい場所へ
紙のエンディングノートの保管は、盗難を考慮しつつ家族が見つけやすい場所が望ましいです。例えば、仏壇、本棚、食器棚などが挙げられます。天井裏など、日常的に目につかない場所は家族が見つけられない可能性が高いため、避けましょう。

いざというときのために、保管場所を記したメモを財布に入れておくのもひとつです。そのほか、銀行や信用金庫の貸金庫で保管するエンディングノート保管サービスを利用する方法もあります。

・デジタルデータの場合はIDやパスワードを適切に管理する
デジタル版のエンディングノートは、パソコンやスマートフォンなどの端末、アプリ等のクラウドサービスで保管することになるため、物理的にどこかへ保管する必要はありません。ただし、端末のIDやパスワードが分からないと閲覧自体ができないため、家族の誰か一人にだけログインに必要な情報を伝えておくなど、適切に管理する必要があるでしょう。
万が一の対策として、エンディングノートのデータを印刷し、紙のノートと同様に保管しておくのもひとつの方法です。

■エンディングノートで大切な人へ思いを残そう
エンディングノートに書く内容は年齢や状況によっても異なりますが、家族や周りの人が読んだときに安心してもらえる内容にすることが大切です。現段階での思いや希望、万一のことがあった場合に必要な情報を、整理して書いておきましょう。

また、エンディングノートを書くことは、自分の人生を振り返ったり、今後どのように過ごしていきたいかを考えるきっかけにもなります。決してネガティブな作業ではなく、残りの人生を明るく前向きにとらえるための、終活の一環であることを知っておきましょう。

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