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終活

終活とはどんなもの?目的や必要な準備を知ろう2023.09.11

「終活」という言葉は耳にしたことがあっても、実際には何をするのか、何のためにするのかといったことはよく分からないという人も多いはずです。このコラムでは、終活の目的や、準備しておくべきこと、終活をする上での注意点などを解説していきます。これから終活を始めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

■終活とは人生の最期へ向けておこなう準備活動のこと

終活とは、人生の最期に向けておこなう準備活動のことで、具体的には遺品整理やお葬式・お墓の検討、エンディングノートの作成、遺言書の作成などがありますが、活動内容は人によってさまざまです。

終活という言葉が意識され始めた背景には、少子高齢化や核家族化があります。多子世帯や拡大家族が珍しくなかった時代には、親の介護や死後の対応を大勢の兄弟や親族で分担することができました。しかし、少子化や核家族化が進む現代では、頼れる家族が少ないことから老後の不安も強まっており、死後の備えが必要と考える人が増えています。

終活は遺される家族のためにおこなうものでもありますが、本人がこれから先の人生を有意義に過ごすための前向きな活動でもあります。今までやりたくてもできなかったことにチャレンジしたり、新しい趣味をもつといったことも、立派な終活のひとつといえるでしょう。

■終活は何のためにおこなうのか?

終活の主な目的は、「家族のため」や「自分のこれから先の人生のため」といえますが、それはなぜなのかを深掘りしていきます。4つの項目に分けて解説していますので、ひとつずつみていきましょう。

①家族に安心してもらうため
遺された家族は、お葬式やお墓の手配、遺産相続、遺品整理といったさまざまな対応をすることになります。訃報を知らせる場面や財産の確認などをおこなう中で、故人しか知り得ない情報があると、解決するのにかなりの労力がかかってしまいます。お葬式に参列してもらいたい人をリストアップしたり、お墓や相続などの準備をあらかじめ進めておけば、スムーズに手続きができるので負担も少なく、家族は安心してお別れに向き合うことができます。
②相続に関するトラブルを防ぐため
遺言書を準備していないと、遺産相続などの金銭トラブルが発生しやすくなります。また、遺言書を作成していたとしても、相続内容が不透明であったり、内容に公平性がなかったりするとトラブルに繋がる可能性が高いです。遺言書の作成にあたっては、財産目録を準備したり、生前に家族と話し合った内容を遺言書に残したり、できるだけ不公平にならないように配慮することも大切です。

③最期を迎える心の準備をするため
老後の資金計画や、相続の内容・方法などを具体的に考えていく中で、自然と心の整理もでき、漠然と抱えていた死への不安が解消される人も多いです。また残りの人生を楽しもうという前向きな気持ちをもてるようになるなど、心境に変化がある人も少なくありません。活動を通して死と現実的に向き合うことで、最期を迎える心の準備ができるようになるのは終活の意義のひとつといえます。

④これから先の人生を前向きに過ごすため
終活を進めていくと、これまでの人生を振り返ったり、自分と向き合う場面もあります。その中で、残された人生をどのように過ごしたいか、どこで何をしたいかなどを考え始める人も少なくありません。
このように、終活は残りの人生を前向きにとらえるためのきっかけにもなります。ネガティブなものではないことを家族や周りの人にも伝え、協力してもらいながら進めましょう。

■終活では何をすれば良い?

ここでは代表的な終活を紹介していきます。家族や周りの人と相談して進めた方が良いものもありますが、まずは自分が取り掛かりやすいものから始めてみましょう。

・身の回りの整理をする
身の回りの「物」の整理は、始めに取り掛かりやすい終活のひとつです。特に趣味や思い出のものなどは手放しにくく、いつまでも手元においてしまう傾向があります。自分で判断して行動できる間に仕分けして、不要なものは処分しておくのが良いでしょう。
遺品が多いと家族が整理するときに時間も労力もかかり、遺品整理業者へ依頼するにしてもコストがかかってしまいます。終活をきっかけに身の回りのものはなるべく減らして、身軽な生活を心がけることも大切です。

・医療や介護についての希望をまとめる
自分にもしものことがあったときに「どのような医療や介護サービスを受けたいか」を家族や医療・介護サービスの提供者などに共有しておくことも大切です。意思の疎通ができない状態になってしまうと、本人の希望が分からず、家族がさまざまな判断をすることになります。医療や介護サービスをスムーズに受けるためにも、希望はある程度まとめておくと良いでしょう。

・交友関係のリストを作成する
自分が最期を迎えたときに、連絡をして欲しい人の連絡先をリストにしておきましょう。交友関係は自分しか知り得ない情報のひとつなので、いざ家族が連絡をしようとしても連絡漏れが発生してしまう可能性があります。後々お葬式に呼ばれなかったなどのトラブルを避けるためにも、交友関係のリストづくりは重要です。

・財産の整理
財産の整理は、終活の中でも重要な項目のひとつといえます。整理すべきものとしては、預貯金の情報やクレジットカード情報、有価証券、保険契約内容、貴金属などが挙げられます。不要なクレジットカードや保険などがあれば、自分で判断できるうちに解約しておきましょう。また、財産を一覧表にするなどしてわかりやすくしておくのも大切。併せて手続きをする際の連絡先も記載しておくと、家族が対応する際にスムーズです。

・遺言書の作成
遺言書を作成しておくと、遺産を分ける際のトラブル防止になります。遺言書の種類は主に3つで、自筆のみで作成する「自筆証書遺言」と、公証人による作成が必要な「公正証書遺言」、内容を秘密のまま作成できる「秘密証書遺言」があります。
それぞれ作成方法や費用も異なるため、まずは専門家に相談し、各種のメリット・デメリットを理解してから自分に合った方法を選ぶことが大切です。

・葬儀の規模を考える
訃報を伝えて欲しい人のリストを作成した上で、葬儀の種類や内容、葬儀社、予算などを考えておきましょう。葬儀の種類は主に一般葬、家族葬、一日葬、直葬の4つがあり、それぞれ規模も費用も異なります。葬儀の種類別の特徴やメリット・デメリットを確認し、どんなお葬式にしたいかを家族と相談しながら検討しましょう。また、費用は葬儀社によっても異なるため、相見積もりをとって比較してから決めるのがおすすめです。

・お墓について考える
かつては先祖代々でお墓を受け継ぐ「家墓」が主流でしたが、現在はお墓のかたちも多様になり、「共同墓」「納骨堂」「樹木葬」など、さまざまなニーズに対応したお墓があります。一度納骨をすると簡単には移動できないため、お墓をどうするかは慎重に検討する必要があるでしょう。また、お墓の種類によってメリットやデメリット、費用差などもあるため、家族に相談しながら決めることが大切です。

・エンディングノートを作成する
エンディングノートとは、自分にもしものことがあったときに、遺された家族へ自分の情報や思いを伝えるためのツールで、終活をする上でとても便利なアイテムです。
ノートの種類や仕様などに決まりはなく、手持ちのものを使っても、書店や雑貨店で販売されているものを利用しても構いません。自治体によっては無料で配布していることもあります。

記載する内容に決まりはありませんが、交友関係のリストや財産についての情報、葬儀やお墓の希望など、終活の内容を記しておくのがおすすめです。このような情報を1冊にまとめておけば、家族も故人の要望を簡単に把握でき、さまざまな手続きをスムーズにおこなうことができます。

■終活をする上での注意点とは?

終活には、遺された家族の負担を減らしたり、人生を有意義に過ごそうという気持ちになれるメリットがある一方で、注意点もあります。以下に紹介していきますので、理解した上で活動を始めましょう。

①ひとりですべて背負わない
終活は、家族や周りの人にも相談しながら進めていくことが大切です。一人で準備を進めていると、多くのことを抱えこんで落ち込んだり、不安に陥ってしまう可能性もあります。また、家族や周りの人が関わっていないと、意見の食い違いが起こり、思わぬトラブルに発展する恐れもあります。
医療や介護サービス、お葬式、お墓など、遺された家族にも関わることは、自分の希望だけで決めるのではなく、思いを伝えつつ、家族の意見を聞きながら決めましょう。

②エンディングノートと遺言書を区別する
気をつけなければならないのは、エンディングノートは遺言書の代わりにはならないということです。エンディングノートはあくまで自分の希望や思いを綴るもので、法的効力はありません。そのため、相続に関する希望を記していたとしても、その内容を強制することはできないのです。

一方で、遺言書は財産を「誰にどのくらい残すのか」という意思を書面にしたもので、法的な効力を持ち、遺産を分ける際はその内容に従うことになります。なお、不備があると遺言書が無効になることもあるため、専門家に相談しながら作成することが大切です。

③悪徳業者に注意する
終活のニーズの高まりとともに、高齢者をターゲットに詐欺をおこなう悪徳業者も出てきています。生前に葬儀やお墓の契約をし、本人が亡くなった後に高額な費用を請求するケースや、終活セミナーというかたちで高齢者を集め、高額な商品を購入させるケースなどもあり、注意が必要です。葬儀やお墓について考える際は、周りの人や家族に相談したり、複数の業者を比較するなどして悪徳業者を見抜き、避けることが大切です。


■終活はできることから始めよう
終活は自分で判断することもあるため、元気なうちに始めるのが理想的です。活動を始める年齢は設定せずに、思い立ったときにできることから取り組んでいくのが良いでしょう。
20代や30代などの若い人であっても、仕事や結婚などを経て生活スタイルが変化し、今後の人生について考える場面があるはずです。年齢を問わず、どうすればこれから先の人生を明るく前向きに過ごせるのか、終活を通して考えていきましょう。


■自分らしく幸せな最期を迎えるために
終活は、残された人生を楽しく快適に生きていくための活動です。そして、自分らしく生きていくためにはどうしたら良いかを考えるきっかけにもなります。終活を始めるのに早すぎるということはありません。幸せな最期を迎えるために、今できる準備を始めてみましょう。

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