終活はいつからはじめるのがいい?|終活の進め方や注意点を年代別にわけて解説
2023.12.15
今回は、終活を意識するきっかけやタイミングを紹介しながら、いますぐからでもできる終活のポイントを年代別に分けて解説します。
「終活」という言葉は耳にしたことがあるけれど、自分たちの世代にはまだ早いと敬遠したり、始めるにはもう遅すぎるのではないかと諦めてしまっている方は必読です。まずは、この記事を参考に、それぞれの世代でできることから、終活の第一歩を進めてみましょう。
終活はしたほうがいいの?
「終活」とは、人生の締めくくりを迎えるために必要な準備をすることです。若い世代にとっての終活は、これからの人生をより良く過ごすための指針となり、人生の終わりを身近に感じる世代には、残された時間をさらに充実させるきっかけとなります。
また、終活は自分のためだけにおこなうわけではありません。医療や介護、葬儀などの自分の希望を明確にしておくことで、いざというときに家族が混乱してしまったり、対立してしまう可能性を減らすことができるのです。
終活でまず最初にやること
しかし、終活はどのようなことから始めたら良いのかを具体的にわからない方も多いはずです。ここでは、最初に手が付けやすいエンディングノートの作成と生前整理について説明していきましょう。
①エンディングノートの作成
「エンディングノート」を書くことが、終活の始まりです。エンディングノートとは、終活の「手引き」であり「ツール」となる便利なノートです。資産状況を含む自分の情報や、医療や介護、葬儀などいざというときの自分の希望や意思を書き留めます。
項目ごとに分けられた市販のエンディングノートを使用すると効率的に進められます。実際に項目を少しずつ埋めていくことで、今後すべきことや課題がはっきりと見えてきます。
②生前整理
次に、取り掛かりやすいのが生前整理です。目的を決めて着実に断捨離を進めていきましょう。身の回りの不要なものを処分しておけば、死後の整理がしやすくなり、遺された家族の負担を減らすことができます。
また、銀行口座や不動産などの自分の資産整理をしておくことも大切です。不要な財産を処分し、資産の目録をエンディングノートに明記しておくことで相続手続きがスムーズに進められるうえ、財産分与の問題も明らかになります。
終活を考え始めるきっかけは?
終活を考え始める時期や年齢は人それぞれです。体力の衰えや環境の変化をきっかけに終活を考える人が多く、次のようなタイミングやライフイベントがきっかけになることもあるようです。具体的なきっかけをくわしくみていきましょう。
新しい家族が増えたとき
終活を考えるきっかけは、死や人生の終わりを身近に感じたときだけではありません。結婚や出産によって自分自身以外に守るべき存在ができたときに、終活を意識し始める人も増えています。
この場合の終活の目的は、自分にもしものことが起こったときに影響がある大切な人たちが困らないために、さまざまな準備やリスク対策を講じておくという意味合いが大きくなります。
定年退職や子どもが独立したとき
終活を考え始める平均的な年齢は60~65歳あたりです。多くの方が定年退職を迎え、年金生活に切り替わるタイミングで、人生の終わりを意識します。定年退職を迎える頃には、子どもの独立も重なり、時間面だけでなく精神的にも終活について考えられる余裕ができることも理由のひとつです。
終活では、半生を振り返りながら「人生の棚卸」をおこないます。よって、どのようなセカンドライフを過ごすのかを考えるきっかけに、終活を始める人もいるようです。
家族や自分の将来や健康に不安を感じたとき
大規模な災害によって多くの人が亡くなる、自分自身が病気を発症するなどして健康に不安を感じたときに、初めて自分の死を意識する人が多くいます。そして同時に、自分にもしものことがあった場合は家族の将来はどうなるのだろうかと、具体的に考える機会にもなります。
親の介護がきっかけになることも
実際に親や身近な人の介護に携わると、将来の自分の介護や医療について考える機会が多くなります。そのため、自分が同じ立場になったときのことを思い、自分の希望や役立つ情報をまとめて伝えておきたいと考え始めます。
親の終活を考えるとき
親の終活を考え、一緒に手伝うことになったときも、自分自身に置き換えて終活について考えやすくなります。実際に親が終活で向き合っているテーマについて、自分ならどうしたいのかを同時に考えながら、答えを探すこともあるでしょう。
また、終活の意義がわからない高齢の親に対して、終活をすすめようとしても、うまく説得ができないことが多々あります。まずは自分が終活を始めてみて、そのやり方や必要性を具体的に伝えてみようと考える人もいます。
身近な人が亡くなったとき
身近な人の死を目の当たりにすることが、自分の終活を考える最大のきっかけになるケースが多くあります。祖父母や年上の親戚はもちろんですが、若くして亡くなった方が身近にいた場合は、大きな喪失感を受けるとともに、故人の生きた証を探し求めます。
そして「自分もいつ死を迎えるかわからない」という意識から、終活が他人事ではなく、自分自身の大きな課題として捉えられるようになります。
年代別に見る終活のポイント
終活は年齢にとらわれず、いつ始めても構いません。しかし、20代と70代の終活の目的やポイントは、同じものではありません。ここでは、それぞれの年代に分けて終活のポイントをくわしく解説していきましょう。
20代の終活
20代は自分の足で歩き始める人生のスタートです。死を身近に感じることは難しいかもしれません。まずは数年後の少し未来を見据えながら、生命保険や年金、貯蓄など経済面を整えることから、終活を考えてみると良いでしょう。
30代の終活
30代には結婚や出産、さらには転職など、人生の大きな転機が訪れます。少なくとも5~10年先の未来を見据えてライフプランニングすることが大切です。まずは教育、住宅、老後の資金を分けて、それぞれ計画的に準備しておくと安心です。
40代の終活
40代は、仕事や家庭で大きな役割と責任を担います。慌ただしいなかでも、老後を見据えた生活設計と資産形成が必要です。そして、自分が人生の折り返し地点にいることを意識しつつ、半生を振り返る時期でもあります。
余裕がある方は、断捨離をスタートすることをおすすめします。身の回りの不用品に関わらず、使用していない銀行口座やクレジットの解約、財産整理などを始めておけば、老後の課題が明らかになり、不安を解消する手立てを検討できます。
50代の終活
50代は両親の介護や死によって、自分の人生の終末をより現実的なものとして捉えられるようになります。老後資金を中心に考えながら、セカンドライフを充実させる計画を立てましょう。
50代には老後まで時間的な余裕があり、終活に必要な気力・体力・判断力が備わっています。エンディングノートを活用し、親の終活を手伝いながら「今からできること」を明確にし、体力が必要な身辺整理について徐々に取り組み始めましょう。
60代の終活
60代からは、終活をより具体的に考える時期に突入します。エンディングノートの項目をもう一度確認しながら、できるだけ埋めていきましょう。医療や介護の希望、お墓の継承問題や葬儀のかたちについて、家族と具体的に相談しておく
70代の終活
70代は、人生の最期がより身近なものになる時期です。体力や判断能力にも衰えを感じることが多くなりますが、できることを着実にやりましょう。遺書やエンディングノートの作成、財産整理などはできるだけ早めにおこなっておくと良いでしょう。
自分で意思決定できなくなったときにどうしてほしいかを、改めて家族に伝えておくことが大切です。また、自身の状況に合わせて免許を返納したり、車や家などを売却するなど資産の見直しを検討しましょう。
終活を始めるのが遅すぎるとどうなるの?
終活は、心身ともに健康なうちから始めることがベストです。終活を始めるのが遅くなりすぎると、計画や準備が充分にできない可能性があります。場合によっては、家族や親しい人たちの後悔や不安を招いてしまうこともあります。
また、残された期間が限られてしまい、自分の意思を伝える機会を逃してしまう、判断能力の低下からコミュニケーションが難しくなってしまうことも。ただし、終活にタイムリミットはありません。決してあきらめることなく、今できることから始めましょう。
生きていればできることは必ずある
身体的に不安がある場合は、電話やインターネットを利用することも有効です。遺産相続や財産管理は税理士や弁護士などの専門家に相談したり、身辺整理は代行業者に依頼したりすることもできます。
終活の注意点と大事にしたいこと
ここからは、どの年代でも知っておきたい終活をする上での注意点と、大事にしたいことを紹介します。
家族や専門家に相談しながら進める
終活の目的のひとつは、遺された家族の負担を軽減することです。終活をおこなう上で感じた不安は、決してひとりで抱えてはいけません。より良い終活をおこなうためにも、必ず家族とコミュニケーションを取りながら進めましょう。専門的な知識や法律については、必要があれば専門家にサポートをお願いすることも大切です。
終活詐欺に注意!
嘘の無料終活セミナーやイベントで高齢者を集め、葬儀やお墓などの高額な商品やサービスを強引に契約させられたりすることがあります。悪徳業者は、電話や自宅訪問などあらゆる手と巧みな話術を使います。必ず家族や専門家に相談し、ひとりだけで契約することは避けましょう。
定期的に見直しをする
人生や物事、環境はいつも同じではありません。ましてや、人の気持ちはその年代や状況で変わります。終活も定期的に見直しをおこなって、その時々の状況に必要な変更を加えていくことが大切です。
医療や介護の希望は、家族との関係や病状によっては変更しなければなりません。また、家族構成や財産状況に変化があった場合は、遺言書を書き直したり、遺産の整理を再度おこなったりする必要があります。
終活は自分にベストなタイミングで始めよう
終活を意識するタイミングは、人それぞれ違います。しかし、いつから始めても早すぎることはなく、なるべく体力と判断能力が充分な世代から始めておくとよりスムーズに進みます。さらに、若い世代にとっての終活は、より良い未来を過ごすための指針となります。
思い立ったときが終活のスタートです。まずは、エンディングノートの作成や身の回りや資産の整理などできることから始めてみましょう。