全国の樹木葬からご家族に合った一つの選び方3つのポイント
2022.11.14
ライフスタイルや価値観の多様化により、さまざまな埋葬方法が登場しています。とりわけ、最後は自然に還りたいという自然派志向の方から注目を浴びているのが、「樹木葬」です。
樹木葬というワードを耳にしたことはあるものの、どのようなものかよく知らない方も多いでしょう。そこで、今回は樹木葬とは何か、樹木葬の利点、樹木葬を選ぶ際のポイントについて解説します。
樹木葬とは
樹木葬とは、墓標の代わりに植えられた樹木の周りに遺骨を埋める埋葬方式のことを指します。樹木の代わりに花を植えて、そこに遺骨を供養する方式の樹木葬もよく見られます。
現在は、価値観の多様化により、さまざまな埋葬方法が世に広まっています。そのような時代の流れとともに、最後は自然の元に還りたいという思想を持つ方々のニーズに応えるために、樹木葬は全国的に広がっていきました。
また、少子高齢化や核家族化などにより、身寄りのない高齢者が増えたことも樹木葬の人気を後押ししている要因の1つであると考えられます。
記事下部でも解説しますが、一般的に樹木葬は、お墓の購入と比べ費用が安く抑えることが出来、親族に頼らずとも管理・維持が可能です。
このような背景から、樹木葬の需要は今後も拡大し続けることでしょう。
樹木葬のタイプ一覧
樹木葬は、施設の作りや立地に応じて「公園型」「里山型」「ガーデニング型」の3つのタイプに分類できます。以下ではそれぞれのタイプの特徴について説明します。
タイプによってメリット・デメリットが異なるので、自身のライフスタイルに合致したタイプを探してみてください。
公園型の樹木葬
公園型は、最も一般的な樹木葬のタイプです。名前のとおり、公園のように整備された施設の中に樹木が植えられており、そこに遺骨を埋葬します。園内の様子自体は、普通の霊園と大差ありませんが、樹木葬なので墓石は設置されていません。
利便性に関しては、普通のお墓と変わらず、立地も比較的よい場所にあり、アクセス面も優れています。
施設によっては綺麗な花々が植えられていたりと景色、趣が異なります。いくつかのお墓を見学して自分好みの風景を探し出してみるのも面白いでしょう。
里山型の樹木葬
里山型の樹木葬では、山の中に植えられた樹木のもとに遺骨を埋葬します。公園型の樹木葬よりも自然豊かな環境で埋葬されるため、最後は自然に還りたいと強く願う方におすすめのタイプです。
ただし、里山型の樹木葬の場合、立地が山の中となるため、アクセスの便が悪いことが多々あります。
ガーデニング型の樹木葬
ガーデニング型の樹木葬は、公園型と作りは似ていますが、公園型に比べ規模が小さく、こじんまりとしています。ガーデニング型は、人口の密集した都心部でよく見られ、駅から近くアクセスがよいという特徴があります。
気軽に参拝に行けるので、常に故人を強く感じたい方におすすめのタイプでしょう。
樹木葬の3つの利点
樹木葬の利点には、「費用が安く抑えられる」「墓の管理・維持の手間がかからない」「自然環境に貢献できる」といったものが挙げられます。ここでは、これら3つの利点について詳しく解説します。
1. 料金が安い
樹木葬は、従来の墓石を建てるタイプの埋葬方法に比べ、費用を安く抑えることができます。
樹木葬が費用を抑えられる理由は、墓石を設置する必要がないところにあります。一般的に、墓石の相場は100~175万円とされており、樹木葬であれば、この費用を削減することができるので、安く抑えられます。
なお、樹木葬では、1人を埋葬するごとに費用がかかります。そのため、利用人数が多いと、普通のお墓よりも割高になってしまうこともあります。お墓を契約する際は、利用人数も考慮するようにすれば、費用を抑えることを目的に樹木葬を利用したにも関わらず逆に高くついたということはなくなるでしょう。
2. 管理・維持が遺族の負担にならない
樹木葬では、親族がお墓を守り続ける必要がありません。そのため、残された家族に負担をかけたくない方や、身寄りのない方でも安心して利用できます。
樹木葬が管理を必要としない理由は、施設の管理者がお墓の管理をすべて担っているからです。いわゆる永代供養の形式をとっているため、親族が定期的に訪れてお墓の掃除をする必要がないのです。
ただし、契約時に永代供養料を支払う必要があります。永代供養料は、地価により異なります。
3. 環境保護につながる
樹木葬では、遺骨を埋葬した場所に植樹を行うことが多いです。一般的な埋葬では、暮石を設置するだけであり、環境へ貢献することはできません。しかし、樹木葬であれば、人生の最後の最後で自然環境へ貢献できるので、とても有意義な埋葬方法といえるでしょう。
家族に合った樹木葬を選ぶポイント5つ
ここでは、樹木葬を検討している方が知って欲しい選ぶ際のポイントを5つご紹介します。
1. 立地選びは利便性・景観に着目する
樹木葬を導入している霊園が家の近くにいくつかある場合は、まず最初に立地と景観に着目してみるとよいです。
樹木葬では、都心で埋葬する場合もあれば、住宅地から離れた山の中に埋葬される場合もあります。当然、山の中に埋葬する場合は、アクセスの便が悪いことが多く、参拝のために足を運ぶのが大変です。
そのため、頻繁にお墓に訪れる場合は、住宅地、都心部で埋葬できる場所を選ぶ方がよいでしょう。
一方で、埋葬する際は立地のよさだけではなく、周辺環境の景色のよさにも着目すべきです。なぜなら、樹木葬を希望する方は、自然に囲まれて埋葬されることを望むことが多く、緑豊かで眺めのよい場所で最後を迎えることを望んでいるであろうと考えられるからです。
そのため、眺めのよさという観点でみると、山の中に埋葬するのがよいです。
立地を重視するのか、それとも眺めを重視するのかは、人それぞれ異なります。「どのような場所に埋葬されたいのか」「交通アクセスの悪さはどこまで許容できるのか」などをこと前に決めておくことが、スムースに埋葬先を決める上で重要になってくるでしょう。
2. 自分に合った宗派を選ぶ
供養を行うお寺の宗派や住職の宗派が、自身の宗派と同じでないと供養ができない場合があります。もちろん、施設によって方針が異なるため、契約前にこと前に他宗派でも埋葬可能かどうかを確認しておくようにしましょう。
また、無宗派の方も宗派の話は無関係ではありません。たとえ自身が無宗派であっても、施設にその旨を伝え、それでも埋葬は可能かどうか尋ねるようにしてください。
3. 墓地の設備もチェックする
施設の中や外にある設備も埋葬先選びでチェックすべきポイントです。たとえば、施設内にゴミ箱やトイレが設置されていないとなると、参拝に訪れる際にとても不便です。また、周辺が緑に囲まれており近くにコンビニなどの買い物施設がないといった場合も、ちょっとした買い物ができないため、利便性が悪いです。
このような不便な施設では、参拝に訪れるのも嫌になってしまいます。お墓は、生涯に渡り利用する場所なので、なるべく施設内と外の利便性がよいところを選ぶことをおすすめします。
4. 費用を抑えたいならば合祀型を選ぶ
合祀とは、他人の遺骨と一緒に埋葬する方式のことを指します。合祀の場合、墓標を共有することになるため、費用を抑えることができます。
樹木葬の相場は30~70万円とされていますが、合祀で埋葬すれば30万以下でも埋葬可能です。なお、個別に埋葬する場合の相場は50万円前後、1本の木を独占する場合は70~100万円程度かかります。
5. 生前予約で家族の負担を減らす
樹木葬は、生前予約が可能です。親族が埋葬方法や埋葬先を選ぶ場合、故人の意向が分からずに選ぶのに苦労するといったことがよくあります。故人のことを思うがゆえに、お墓選びは残された家族の精神的な負担になりかねません。
そこで、存命の間に自らの足でお寺や霊園へ足を運び、埋葬先を決めおくとよいです。さらに、家族にも自身の葬儀・供養について話しておけば、葬儀の手続きがスムースに行えるようになり、家族の負担はぐっと減ります。
どのような埋葬方法がよいのかをこと前に決めておこう
樹木葬の利点と、樹木葬を選ぶ際のポイントについて解説しました。本記事でご紹介したとおり、一口に樹木葬といってもその内容はさまざま。都心にある施設に埋葬するものもあれば、山の中で埋葬するものもあります。また、他人の遺骨と共同で埋葬する所もあれば、個別に埋葬してくれる施設もあります。
選択肢はたくさんあるので、どのように埋葬されたいのか、どこに埋葬されたいのかを、この機会に考えてみてはいかがでしょうか。